●小説新春第4号「年賀状」
あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
新年早々から変な年賀状を見てここにアクセスしたあなた、只者ではない。
前口上はほどほどに、小説新春第4号「年賀状」の全文をどうぞ。
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クリスマスを過ぎても、誠は年賀状の作成に追われていた。宛名書きは全部パソコン印刷だし、裏面は出来合いのものを使う。手間と言えば一言添える程度であったが、それでも百枚以上の山は一仕事だった。
単調作業は骨が折れるものだが、彼は嫌いではなかった。年賀状作成には、毎年密かな楽しみがあったのだ。
電話帳をおもむろにめくり、適当な人間をひとり選び出す。別のページから、もうひとり選ぶ。それぞれの住所や氏名を、パソコンの宛名印刷ソフトに入力して、印刷すれば完成。そう彼は、見ず知らずの人から人へと書かれた年賀状を「偽装」するのが趣味だった。裏面にも「旧年中は大変お世話になりました。お互い飛躍の年にしましょう」などと、それらしいことを綴るのだった。
「誠、そろそろ終わった? あ、またそんな年賀状作って……。そんな暇があるならさっさと書いちゃったらいいじゃない!」
呆れ顔の妻・玲子を前に誠は「まあ、いいだろ」と笑った。大学生の頃から十年以上、彼は偽装を続けていた。毎年一枚だけとは言え、玲子は結婚した当初から快く思っていなかった。
「だって、いきなり知らない人から来たら気味悪いよねー。それに、偶然にも知り合い同士とかだったら、もっとややこしいよねー」
家の中で飼っている犬のシロに食事をあげながら、彼女はそうひとりごちた。
年賀状作成も終え、無事に新年を迎えた。だが事件は起きた。
「年末ジャンボもハズれちゃったわねー」と家事片手、新聞を見ながら嘆く玲子をよそに、誠は到着した年賀状を読むのに忙しかった。高校時代の友人、職場関係、親戚、妻の友人、それぞれ振り分けつつ目を通す。なんだかんだ言いながらも多くの年賀状をしたためる誠のことだから、知らない名前もなく、例年さっと分類を終えるのだった。
が、今年は違った。一枚だけ、差出人の名前に見覚えがなかった。パソコンで印刷された宛名は、夫婦連名だった。裏を見ても、プリントされた定型の挨拶以外に「今年も宜しくお願いします」と手書きで添えられているだけ。玲子の友人なら知らない人もいるだろうかと思い、訊いてみた。
「これ、お前の知り合いか?」
年賀状をのぞきこんで玲子は答えた。
「いや、知らないわね……誠の知り合いじゃないの?」
「俺が知らないってことはないよ。お前の名前があるから、お前だと思ったんだけど」
「でもあたしはわかんないな……返事出さないの?」
「いや、出すも出さないも、わかんないんだから、出しようもないだろ」
「あなたみたいにウソの年賀状書いてる人がいるんじゃない?きっと」
「うーん、でもそれならお前の名前がわかるはずないし……」
誠はどうも納得がいかないようだった。
台所。雑煮の匂いにシロが寄ってきた。玲子はこう話しかけた。
「どうして、気づかないのかしらね……」
シロがワンと吠えた。


コメント
It's great to read something that's both enjoyable and provides pragmaitsdc solutions.
Posted by: Diandra | 2011年09月21日 21:34
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Posted by: xwcfeplz | 2011年09月26日 03:57