●[劇薬中毒 5]ヨコハマメリー
▽映画『ヨコハマメリー』(中村高寛監督)@池袋東急
高校の同級生Kが東京に遊びに来たので、一緒に行った。普通の人なら誰かを誘って一緒に行くような映画ではないが、私は普通ではないので仕方ない。
この映画の存在は、ライター松沢呉一さんのメールマガジン「マッツ・ザ・ワールド」で知った。年1万円にそぐわぬものすごい配信量のメルマガで、私は半分ぐらい読み流している不真面目な読者なのだが、そこでこの映画の紹介が流れたのだ。昭和20年代、街に立ち続けた米兵専門の街娼、いわゆる「洋パン」。メリーさんはそのひとりである。
松沢さんは「試写は観るべきではなかった。つくづくそう思いました。誰もいない映画館で一人で観て泣き続けるべきでした」(第611号より引用)と絶賛しているのだが、ドキュメンタリー慣れしていない私にとっても、息つく暇を与えないすごい映画だった。
現在よく語られる「貧困のためにやむなく街頭に立った」という言説だけでは、到底ひとくくりにできないような「闘い」。顔を白く塗り、街に立ち続けたメリーさんの孤独。わずかながらいる、それを見守る人々。私が思いを馳せる昭和20年代は想像の域を出ないけれども、そこには「生きる」ということへの凄まじいまでの実感があったのではないか。
孤高、という言葉はメリーさんのためにあるのではないかと思った。ラストに登場するメリーさんの姿に、気高い美しさを感じたのは私だけではないだろう。(5/15)
http://www.yokohamamary.com/
池袋東急で26日まで。テアトル新宿で公開中。テアトル梅田でもあす5/20から。なお、テアトル新宿では5/26に松沢呉一さんと中村高寛監督のトークライブあり。

