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2006年06月01日

●[劇薬中毒 6]富弘と母と私

▽富弘美術館@群馬県みどり市
印度哲学研究室の旅行で足利~足尾と回ったのだが、その途中に急遽寄ることになった。「トミヒロビジュツカンに行きます」と聞いて、「トミヒロってどこの地名やろ?」と思ってしまった。まさかあの星野富弘だとは。

群馬県勢多郡東村、現みどり市が彼の出身地である。体育教師であった彼は1970年に頸椎を損傷し、手足の自由を失う。そこから生まれた「口」で筆をくわえるという技術。「愛、深き淵より。」をはじめとする詩画集はミリオンセラーにもなったのでご存じの方も多いだろう。

私の家では、母が買った彼の本が並んでいたのを覚えている。美術館に入る直前に、私が何歳の頃だったかは覚えていないが、おもむろに彼の本を本棚から取り出した母が、星野富弘その人について熱く語っていたシーンが脳裏に蘇った。記憶ってすばらしい。

と、言うと私も彼のファンだったかのようだが、実はちゃんと星野さんの作品を見るのはこれが初めてだった。一見すると相田みつをのような、メッセージ性が少し鼻につく詩かもしれない。しかしそれが、美しい花々、ときに野山の景色と共に並ぶと、それは「生きている」歓び以外の何でもない。

富弘作品を評価するとき、どうしても彼の境遇を考えてしまい、なかなか作品を単独で評することは難しい(それはある種ポストモダン的な批評なのかもしれんが)。確かに、私が言っても説得力ないよなぁ、という詩もあると思うが、なかなかどうして、絵がなくても、彼の背景を知らなくても、詩だけで魅せてくれる作品もいくつか存在したように思う。滞在時間は短かったし、研究室の他の人たちはそんなに心打たれることもなくこの美術館を後にしたのだろうが、私はひとり絵葉書を買い、母へ手紙を出した。(5/26)
http://www.tomihiro.jp/

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