●[雑談19]King of Athlete (後編)
デカスロン(十種競技)に興味を持ったのはいつのことだろう。本格的にのめりこみだしたのは、漫画『デカスロン』(山田芳裕・ヤングサンデーコミックス全23巻)を読んだ大学の頃なんだが、それ以前から何となく注目していたのを覚えている。
いろんなことにちょこちょこと手を出して、どれも一流というわけではなくて、でもそこそこできる。そんな自分と十種競技の選手とを重ね合わせたのかもしれない…などと言うと大変おこがましい。今回優勝したシェブルレの記録を書いてみる。
初日
100m 11秒04(852) / 走り幅跳び 7m56(950) / 砲丸投げ 15m92(846) /
走り高跳び 2m12(915) / 400m 48秒80(871)
2日目
110mH 14秒33(932) / 円盤投げ 48m75(844) / 棒高跳び 4m80(849) /
やり投げ 71m18(907) / 1500m 4分35秒32(710)
(カッコ内は得点)
ふーん…という感じかもしれないが、例えばこの記録を今年の日本選手権に持ってくると、例えば走り幅跳びなら7位、円盤投げなら9位。走り高跳びならなんと4位である。日本の単独種目なら、十分トップレベルなのである。それが2日間で10種目こなした中での記録、ということの凄さを感じてほしい。
そして、デカスロンの本当の面白さは記録だけではない。2日間にわたる競技の中で生まれる、数々のドラマ。それは記録には残らなくても、観客の胸に焼き付けられる。
ぼくは思い出す。1500m走が終わった後の選手たち。優勝したシェブルレが、疲れ切ってトラックに横たわり、天を仰いだシーン。そして、お互いの健闘を称え合う抱擁。裸足でのウィニングラン。みんな、それぞれの国旗を背に、観客に向かって礼をする。
2日間に渡って声援を送り続けた数少ない人々には、そのとき、本当の感動が見えたのだろう。
~選手紹介 その2~
5位 アンドレ・ニクラウス(ドイツ)8371点
陸上王国ドイツからは3人が出場していたのだが、最上位に入賞したのがニクラウス。前半は10位前後だったが、自己記録タイの5m30をマークした棒高跳びで一気に順位を上げた。コーチが観客席から絶えずものすごい剣幕でまくしたてており、ドイツと思しきカメラクルーがつきっきりだったのが印象深い。
10位 ポール・テレック(アメリカ)8120点
正月の筋肉番付特番で優勝し、一気に日本での知名度を上げた(?)テレック。十種競技もメジャーになれば、と思ったりしたのだが。彼は意外にも得意なのが棒高跳び。自己ベスト5m50というのは専門競技者レベルである(ちなみに今回の棒高跳びの決勝は5m51からスタートした)。今回も5m20にまとめた。苦手の投擲が伸びれば、北京ではメダル争いもある。
17位 アウグスティン・フェリックス(スペイン)7749点
名前と言いスペインと言い金髪ロン毛と言い、なんとなくイケメン系なイメージなのだが、サングラスを決して外すことのない彼には何か美学を感じた。そして、棒高でひとりヘルメットを着用していたのも印象的。全体的な地力アップで8000点を目指してほしい。
19位 田中宏昌(日本)7629点
モンテローザ所属、新宿の笑笑などではホール業務もこなすという26歳。日本では敵なしも、今回は初の世界大会だった。まだトップレベルには遠いが、日本記録7995点は更新できる位置にある。元々が投擲選手だったこともあり、得意なのは円盤投げ&やり投げ(とは言っても世界レベルには届かないが…)。そして澤野大地と共に練習している棒高跳び。短距離の成績も悪くないので、スピードをうまく跳び系競技に生かしつつ、筋力アップで砲丸投げなど苦手種目の実績を上げれば、日本人初の8000点が見えてくる。
途中棄権 ブライアン・クレイ(アメリカ)
残念ながら故障が完治しておらず、4種目めの走り高跳びを終えたところで棄権となってしまった、ヘルシンキ大会金メダリスト。日系3世で、肩に日の丸のペイントを施していた。間違いなくこの種目では毎回メダル争いをする選手なので、北京では元気な姿を見せてほしい。
途中棄権 アンドレ・クラウチャンカ(ベラルーシ)
最初の100mにて、2度フライングであえなく散った新星。まだ21歳ながら自己ベスト8600点台と、これからのデカスロン界を支える貴重な存在。次の9000点は彼かもしれない。北京に期待しよう。
