●[実録!小説の書き方 11]何を「書かない」のか
小説というのは原稿用紙を前にして「さて、何を書こうか」と考えるものだと思っている人もいるかもしれないが、ぼくはそれは少し違うと考えている。むしろ「何を書かないか」が重要なのである。
人間が一日に見聞きし、話したことをすべて描写すると文庫本1冊ぐらいになるらしい、という話を聞いたことがある。つまり、小説というのは、そこからいかに切り捨てて描くか、というところから始まるのだと思う。シナリオらしきものが存在するすべての芸術はそうではないか。
書かれてない部分に考慮が行き届いていない小説は何がまずいのか?色々ありそうだが、一番は「思わぬところで不整合が生じやすい」ということだと思う。物語の自然な流れというのは、読者が行間を補完することで成立しているのだから、その「読者の想像力」を先取りする意味でも、作者は書かれていない部分に思いを馳せる必要がある(これが無意識のうちにできる人は、小説を書く才能があると言ってよい)。
今回のぼくの作品はある1日を描いている。そうは言っても、例えば作者がトイレに行くシーンが何回も登場するということはない。トイレに行くシーンはどうして描かれないのか?どうして描かないのかを考えて書かないのと、単にみんなが書いてないから書かないのとでは、だいぶ違う。そしてほら、これで「主人公がトイレにばかり行く小説」が書けるでしょ。
作品のほうは設計段階をこれぐらいにして、ぼちぼち書き始めてみようかと思ってます。
とりあえず書きたくなってきた。
