●地名と「名前重要」(1) ウメダかオオサカか
ソフトウェア開発の世界では「名前重要」とよく言われる。統一した定義はないが、要するに「あるものが有名になったり良いものになったり、何かしら発展していくかどうかは、そのものの名前の善し悪しに左右される」という意味だと思っている。「名前」というのは、実体を表現する短く簡単で、もっともよく知られた形式だと思う。(名前以外にも、実体を表現する短く簡単な形式には、たとえばアイコン画像がある)
突然だが、最近「地名」というのは、「名前重要」というテーマをわかりやすく示す教材になるのではないかと考えている。そのきっかけとなったのが、先週末の話である。大阪に出張に来ていた会社の先輩が「何度か来るからわかるようになったけど、なんで梅田駅ってのは大阪駅と同じなの?」と聞いてきたのだ。
以前にも似たようなことを考えていたので、ぼくは以下のようなことを即答した(実際はもっとしどろもどろ)。
「それはつまりスコープの違いで、阪急や阪神といった私鉄会社にとっては大阪というのは梅田というローカル地名でいいんですが、JRのような全国会社にとっては『大阪』という名称で、大阪以外の人に『ここが大阪の中心ですよ』と示す必要があるわけですよ」
関西以外の人に解説しておくと、いわゆる「キタ」には以下のような駅が徒歩連絡可能駅として存在する。Googleマップみてください。
大阪駅(JR東海道線・JR大阪環状線)
梅田駅(地下鉄御堂筋線・阪急・阪神)
西梅田駅(地下鉄四つ橋線)
東梅田駅(地下鉄谷町線)
北新地駅(JR東西線)
梅田というのは大阪市北区梅田というローカル地名で、もともと田んぼを埋めた「埋田」の縁起をよくした地名である。地元民、京阪神の住民なら99%が知っている地名だと思う。
北新地は平成に入ってからできた駅で、大阪駅からは少し遠い曾根崎新地あたりの駅。命名方式がまったく違うが、住んでいる人にとっては「シンチ」として知られる繁華街の最寄りなので、あながち外れてはいない。
そして大阪駅については前述のキノシタ説どおりで、大阪の中心であることを意識した駅だ。JR、つまりは旧国鉄はこういう命名方式を一環して採用している。東京駅というのもそうだろう。
文章教室なんかで「文章は誰に対して書いているかを意識することが重要」などと言うが、名前というのも同じなのだと思う。つまり「誰のためにつけるかを意識した命名が、よい命名になる」ということだ。以下続稿。
