●あからと清水先生と
つい先日コンピュータ将棋「あから2010」が女流プロ棋士の清水市代先生を破るという事件があった。まあ一発勝負だから1回勝ったからといってコンピュータが圧倒的優位であることを示すわけではないが、その内容もなかなかのもので、今回のような4ソフト合議制でなくても、普通のパソコンで現在のプロ対局の平均的な持ち時間で、互角になる日も遠くないのだろう。
青春は81マスの中にあったと今でも信じているぼくなので、このニュースは特に興味深かったのだが、これに限らず「人間がやっていることをコンピュータにやらせる」というのは2010年代はちょっとしたブームになるのではないかと思っている。もちろんこういった営みは昔からあったのだが、ハードウェアの性能やらネットワークの性能やらの進化で、ようやく実用化できるレベルまでおとしこめるようになってきたと思う。
ぼくのいるソフトウェア開発の業界でも最近「アプリケーション自動生成」とやらが流行の兆しをみせはじめている。2010/9/29号の日経コンピュータでは小さいながら特集が組まれた。内容は南米ウルグアイ発の「GeneXus」というソフトの話ばかりでほかの話はないのだが、これに限らず「人間が手で書くのではなく、ツールに書いてもらう」プログラムコードの割合は増えていると実感している。
ただ、こういった「アプリケーション自動生成」と、あからのようなコンピュータ将棋の機械学習は性質を異にするものである。というか、まだまだ発展途上だろう。アプリ自動生成はまあ言わば「指示したとおりにコンピュータが作ってくれる」という領域であり、それは「マウスで動かしたとおりに将棋の駒が動く」というレベルでしかない。じゃあ、ソフトウェア開発において「人間より強いコンピュータ」は生まれるのか?ぼくはそのうち「人間の要件を正確に定義しつつ自動的にアプリケーションを作成する」という上流工程自動生成もいつの日か実用化すると予想する。
そんな世界が到来したら、我々システムエンジニアはどうすればいいのか?決まっている、戦うのだ。清水先生のように、格好良く、潔く。
